本の世界への案内人~読み聞かせ31年「チリンの会」~

こんにちは。3期生のぷーちゃんです。

絵本は、赤ちゃんや幼児だけのためのものでしょうか?

いいえ、小中学生になっても、大人になっても楽しめるものがたくさんあります。

平成元年発足の「チリンの会」は、天間小学校での絵本読み聞かせがこのほど830回を迎えました。チリンの会の活動は、週1回、朝の時間に10分間小学校の各教室で読み聞かせを行うほか、月1ペースで小学校の昼休みに紙芝居などの上演をします。また、幼稚園や保育園のお楽しみ会、文化祭出店(チョコバナナ)、子育てサロンのおはなしクリスマス会などを通して、地域の子ども達に積極的に関わり本の楽しさを伝えています。その他、年間10回の読み聞かせの勉強会や、毎週の練習も怠りません。絵本の知識を深めつつ、読み聞かせ技術の向上を目指し研鑽を積む日々です。

見学に伺ったこの日、1年生のクラスでは、『ふうことどんどやき』と『おめでとうのいちねんせい』が読まれました。ちょうど富士市各地でお正月のどんど焼きが行われたばかりのこの時期にぴったりの物語です。私も、どんど焼きの幻想的な炎を思い描きながら、しみじみとお話を味わっていました。その日読まれた本は、しばらく教室に置かれ自由に読み返すことができるそうです。

昼休みの”おはなしメルヘン”は、本好きの子たちだけが集まります。可愛い「ぐりとぐら」ののれんにお出迎えされ、くぐった先にはほら…大がかりなセットが組まれた、本格的な紙芝居屋さんが待っていました。 1人、また1人とお客さんの子どもたちが訪れ、部屋は満室になりました。

照明を落とし、拍子木が打ち鳴らされ、はじまりはじまり~。かつて子ども達の娯楽の王様と言われた紙芝居屋さんは、戦後テレビの普及と共に姿を消していったそうですが、そんな昭和の時代にタイムスリップしたようでワクワクしました。子どもたちは、リラックスしながらも真剣に耳を傾けます。お話にクスッと笑ったり、合いの手を入れたり…イキイキとした姿が垣間見られ、微笑ましかったです。

チリンの会の願いは、”読書に親しむことで、生きる力をつけていってほしい”ということにあります。また、耳からの読書は、想像力を養います。

今も昔も、お母さんは、時間との闘い。 我が子になかなか絵本を読んであげる暇がなくとも、子どもの成長は待ってくれません。

昔大好きだった本を大人になって再読すると、”あれ?もっとワクワクする話だったんだけどな”とガッカリすることも、しばしば。そうです、子どもの頃の純粋な感性でしか感動できない本があるのです。貴重な子ども時代にチリンの会を通して、厳選された良書や自分から手にとりづらい作品にも毎週出逢える機会があるとはなんという幸せなことでしょう。

チリンの会は、天間小の推薦により、昨年11月に”子供を育む地域活動団体表彰”を受けることになりました。我が子が卒業してからもずっとチリンの会を続けてきた平山壽子さんは、「いつの間にか読み聞かせが自分のライフワークとして無くてはならないものになっていることに気付きました。」と言っていました。メンバーの中には、読み聞かせをやりたいが為に夜勤をやって時間を捻出している方もいます。

愛情がこもった6年間の読み聞かせの記憶は、子どもたちの心の奥底にきっと刻まれ、心豊かな人生を送る糧となってくれるに違いありません。