達人たちの技の結晶~影絵劇団Kage-Boshi~

こんにちは。三期生のぷーちゃんです。

”夜開かれる影絵一座の上演会”…と聞くだけで、非日常的なドキドキ感を感じませんか? 富士市で、毎年夏から冬にかけて新作影絵劇を上演するKage-Boshiさんの今年度の演目は、『オズの魔法使い』と『きつねのよめいり』です。

1月25日、千秋楽を迎え、大盛況の中、満場の拍手とともに幕を閉じました。 去年の冬、Kage-Boshiの『銀河鉄道の夜』の影絵劇に感動し、それ以来すっかりファンになってしまった私ですが、どんな方たちがどのように制作しておられるのか知りたくて、早速レポートしに行ってきました。

Kage-Boshiは、青葉台小学校PTAのママさん達が2004年に結成しました。 しかしこの影絵劇、一般の方が作るレベルをはるかに超えた完成度の高さです。それもそのはず、美術の下絵はメンバーの一員である富士市の版画画家の梅原万奈さん、音楽はピアノ教室フジヤマ代表の山下瑞穂先生が監修しています。 朗読のゲストには、テレビ・ラジオパーソナリティの杉山直さんを迎え、コーラスは、富士市少年少女合唱団OGの皆さん。 更に、三味線は富士市出身のプロ三味線奏者の佐藤さくら子さん、ピアノとヴァイオリンも、先生をしながら活躍しておられるプロ奏者という、そうそうたるメンバーがこの日のために集まりました。

代表の和久田惠子さんは、もともと読み聞かせの活動をしていましたが、読書離れが進む子ども達を本の世界へといざなう手助けとして、”生の音楽に触れながら想像力をかき立てられる影絵劇を作ろう!”と思い立ちました。 素晴らしいメンバーが集まり、経験を重ねるうちに、プロジェクターも駆使して作品もどんどん進化していきます。

最初は学生だったピアノの瑞穂先生の娘さんも、今では大人になりKage-Boshiに欠かせないピアニストとなりました。 影絵を動かしているメンバーは、梅原さんの下絵をもとにカッターで切り絵を作り、丁寧にセロハンを貼っていきます。何十枚とある影絵キャラを間違えることなくスムーズに動かす”縁の下の力持ち”の活躍なくしては、影絵を語れません。

今回の会場は、鷹岡市民プラザ和室の大広間です。 まず、天井まで届く大きなセットを皆であっという間に組み立てます。 日が落ちてきた頃が、開始の合図。暗闇にランプが灯され、浮かび上がる万華鏡のような影絵です。ミステリアスな影絵に、ヴァイオリンのせつなげな音色は、とてもよく合います。 ピアノの生演奏とコーラスは、どこまでも澄んで響いていきました。1時間あまりの大作のオズの魔法使いですが、3~4才の子ども達も飽きることなく楽しんでいました。

『きつねのよめいり』はガラリと雰囲気が変わり和風ですが、三味線と影絵の組み合わせも、しびれるくらいに粋でした。 Kage-Boshiは、ハンドベルやオーケストラ、アフリカンドラムなどとも共演したことがあるそうですが、これからも作品のジャンルを広げていかれるのではないでしょうか。 同じ作品でも、冬と夏、時間帯によっても全然味わいが違います。 野外の星空の下や、古民家での上映も行われるといいますが、想像しただけでロマンチック! Kage-Boshiさんのもう1つの目的としては子ども達にいい思い出を作ってあげたいという母心もあるそうですが、子どもだけでなく会場にいる子どもから大人までこんなに素敵なショーを観られたということは忘れられない思い出になることと思います。

このような活動をして輝いている自分のお母さんを見ながら育った子ども達は、時間がある時は練習に顔を出したり、手伝ってくれることもあるそうです。 いつの日か、Kage-Boshi親子が、3世代で影絵を楽しむことができる日が来るかもしれません… 富士市が誇る芸術家たちは、来年度は観客をどんな世界へと連れて行ってくれるのでしょうか。 楽しみに待っていましょう。